パンが焼けたんである 第3回
ひな祭りが終わり、ひとまずパン企画がおわりました。
ボンボン言っていた日々もあっという間に思い出に。
マメヒコでパンを焼きましょうとなって以来
酵母酵母と言っているけれど、
そもそも酵母がなんなのかよくわからない。
酵母はつまり酵母菌。菌だ。
菌ということは微生物。生き物だということ。
菌ということは空気中、どこにでもいるということだ。
パン作りの最初の作業は「酵母おこし」。
瓶の中に詰められた酵母は、水を入れて放っておけば
勝手にぷくぷくと音をたてて活動をはじめる。
これは酵母が呼吸をしながら
空気中の微生物たちから糖分を得て
栄養をもらって、アミノ酸とかビタミンとか、
他の栄養分を作り出している最中らしい。
30時間以上放っておくと、ぷくぷく言うのを止めて、落ち着きを取り戻す。
「酵母おこし」完了だ。寝ていた酵母が完全に目を覚ました。
これでようやく、パン生地づくりが始められるというわけだ。
酵母を入れて作ったパン生地。
捏ねて寝かせると次見たときには2~3倍に膨らんでいる。
これは酵母が他から得た糖を分解して、
アルコールと二酸化炭素を作り出す、
「アルコール発酵」という活動をした結果だ。
二酸化炭素つまり炭酸ガスが生じたため生地が膨らんだのだ。
「酵母おこし」は、酵母にこの「発酵」活動をきちんとしてもらうための
準備段階というわけだ。
こうやって理解していくと、
パン生地は目には見えないモノたちが
複雑に反応し合ってできたものだということがよくわかる。
酵母のえさはその時どきでその場にいる微生物たちなわけだから、
同じ酵母でも環境によって全然性格の違うものになる。
性格の違う酵母で作られたパン、その出来ももちろん違う。
キナボンマメボンだって、三茶と渋谷では様子が違ったし、
同じ店舗でも日によって、店内の雰囲気によって
大きさにも食感にも味にも違いが出た。
いい働きをしてくれるように、
発酵の段階でクラシック音楽を聞かせるところもあるらしい。
「臨機応変に。それがすべて」
「いかに自分が何もできないかを思い知りますよ」
話すのは細貝正恵さん。
富ヶ谷に20年ある老舗「ルヴァン」で働いて今年で2年目になる。
「ルヴァン」は天然酵母パンのお店。
細貝さんは、お客様歴を合わせればルヴァンとの付き合いは7年になるという。
はじめは化粧品関係の仕事をしていて、
美しさを追求していったら"食"にたどりついた。
天然酵母と塩と粉と水。砂糖は使わない。
という本来のパンの姿にこだわったルヴァンに共感を覚えた。
噛めば噛むほど麦の味が口中にしみわたる
ルヴァンのパンのとりこになった。
パンを焼くスタッフは、
朝4時半に来て12時間、
捏ねて丸めて焼いている。
「本当に手がかかります」
笑顔で語る細貝さん。
どんどんくる
焼き待ちの行列
成形終わりましたよ
発酵してしまいますよ
早く早く、早く焼いてください
待って待ってまだ他のを焼いてるところなんです
じゃあ置いておくよ
あたたかいところはやめてよ
寒すぎてもだめ
今日は湿気が高いから気をつけてください
こんな毎日だ。
いやこんな大変なことにならないように、
常にまわりをみて、伝達をし合ってやっているのだ。
生地にも「話しかけながらやっている」そうだ。
「なんせじかに手で触ってやる作業ばかりだから
気が伝わります。これは本当にそう。
だから毎日少しずつ違うし、それが面白いところ。」
ちょっと今回は膨らまなかったので
と、安く提供することもあるんだそうだ。
ルヴァンのあの落ち着いた雰囲気からは
朝4時から酵母に手をやいている人たちの必死な姿は
とても想像できないけれど...
三茶マメヒコはまだしも、あんなにオープンキッチンな渋谷マメヒコ。
マメヒコは朝8時からやっています。
8時にのぞいたらスタッフ一同走り回っていたりして。
広々とした渋谷マメヒコはまだしも、
二人いるだけでも息苦しいような三茶マメヒコのキッチン。
お客様申し訳ございません、
ちょっとこちらの生地をここで発酵させていただいてもよろしいでしょうか。
マメヒコでパン。
本格的なスタートは近い
予定だ。

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