関田孝将さんにはじめて棚を作ってもらったのは3月5日のことでした。
そして出来上がったのは2段の棚。
その日は「また来ます」と言って関田さんは帰って行きました。
http://www.mamehico.com/mamehico/2008/03/post-251.html
3月も終わりかけたある日、、関田さんは山のような古材を抱えてマメヒコにやってきました。
「今日はもうちょっと色々やってみようと思って・・・。」
そう言ってはにかむ関田さん。
繊細な仕事が始まりました。
棚。
最初に棚を作ってくださいとお願いしたとき、
普通の棚じゃなくて、この棚が凄い!というような棚を作って下さい、とお願いしました。
棚ってどこの家にもあるし、どこの会社にもお店にもあるけれど、
特別素敵な棚って見かけません。
棚はあくまで台であり、物を素敵に見せるための引き立て役にしか過ぎないから、
特別素敵である必要は無いわけです。
乗せるものを良く見せるためにシンプルに作られ、その存在をどこまでも隠したい。
出来れば無いものにしてしまいたい。
あるけど無い・・・。
でももし棚がとっても素敵なら、乗せるものはもっと素敵になるんじゃないだろうか?、
そんな素朴な想いから、マメヒコ渋谷店の棚構想は始まりました。
お客様から「この棚凄いね、この棚が欲しい!」と言われるような棚があったら面白い。
作家の関田さんなら、きっと。
そんな私たちの想いを関田さんは二つ返事で引き受けてくれました。
何度も腕組みしながら考え込んでは
おもむろにインパクトを片手に壁に向かう関田さん。

その表情は真剣で、いつも温和な関田さんの雰囲気とは明らかに違います。
芸術家魂のようなものがオーラとなって漂っています。
一段丁寧に取り付けられていく棚。
時には一度固定した棚を取り外して、ほんの少しずらしたり材を変えたり。
そこに一切の妥協はありません。

少しずつ出来上がっていく棚を見ているうちに、あることを思いつきました。
ちょうど一週間ほど前、「渋谷店オープン半年おめでとう!」といってあるお客様が
ハナズオウという枝物を下さいました。
その方はマメヒコさんへと言って中国原産マメ科のハナズオウを選んで下さいました。
白く繊細な枝と濃いピンク色の花は、マメヒコのテーブルを華やかに飾ってくれました。
そのハナズオウの枝をこの棚の一部に使ってもらえないかと相談してみたのです。
もちろん、関田さんはすぐに「いいですね」と乗ってくださいました。

そして数時間後ハナズオウの枝は、マメヒコの棚の一部になったのです。
外が暗くなる頃、見ているだけでわくわくするような、世界にたった一つの棚が出来上がりました。
どこにも売ってないマメヒコのための棚。
見ているだけで想像力の掻き立てられる棚。
少し前まで白い壁だった場所には、一つの世界が出来上がっていました。
何も無いところから新しい世界を作る。
新しい物語を紡ぎ出す。
関田さんは再び温和な表情で黙々と道具を仕舞っています。
しかしまだ、関田さんの棚の世界はこれで終わりではないようです。
「また作りに来ますね」そう言って関田さんは道具を抱え、暗くなった渋谷の街に消えていきました。